海洋深層水

海の神秘!海洋深層水
海洋深層水(deep ocean water)または単に深層水とは、深度200メートル以深の深海に分布します。表層とは違った物理的・化学的特徴を持つ海水のことで、海水の90%以上は海洋深層水にあたると言えます。海洋学上の深層水は大洋の深層に分布する海水で、地球上の北大西洋のグリーンランド沖と南極海の2箇所で形成される深層水(北大西洋深層水と南極低層水)のことを示します。これらの深層水は熱塩循環によっておよそ2年かけて世界中の海洋を移動していて、千年単位の地球の気候にも重要な関わりを持っています。産業利用上の深層水は、分布や出自を問わず深度200メートル以深の海水をひとくくりに定義したものです。
表層水とどう違う?海洋深層水の特徴
海洋深層水と表層水との違いは、『清浄性』、『無機栄養塩類が豊富』、『低温安定性』という特徴があることです。
清浄性抜群!
人間の排水で汚染された河川水の影響を受けないため、化学物質による汚染がありません。また、太陽光が届かないためプランクトン等が成育しないので、有害な雑菌等も表層水の千分の一以下と少ないことが特徴です。このため、深層水は表層水に比べて細菌学的にも化学的にもはるかに清浄です。
無機栄養塩類が豊富!
表層水に比べて、植物プランクトンの成長に必要な無機栄養塩類が豊富です。これは海洋深層水中の植物プランクトンが少ないために、表層から沈降してくる魚類の死骸が分解されて生じた無機栄養塩類が消費されずに残っているためです。
水質は安定安全!
水温をはじめ含まれる成分が年間を通して一定であり、水質が安定しているという特徴があります。海洋深層水は、表層水との混合がおこなわれないため溶存酸素量が少なくなっています。ですが、日本海固有水は太平洋側の海洋深層水とその成り立ち方が異なるため、溶存酸素量が表層水とほとんど同じであることが特徴です。深層水が特定の海域で表層へ上昇することがありますが、豊富な無機栄養塩類によりプランクトンが豊富に発生するため、非常に生物生産性の高い海域となり好漁場となるようです。
海洋深層水は海外でも大人気!
海外では韓国や台湾で深層水の産業利用を推進するため国立の研究機関を設立し、研究開発を進めています。台湾では現在、複数の企業が台湾で取水された深層水を用いた深層水飲料の販売を行なっています。一部は中国へ高級飲料として輸出されています。また、飲料だけに留まっている利活用を活性化させようと、日本の深層水を利用した清酒製造技術の導入を図ろうとする取水地もあるようです。韓国では、2007年7月3日に国会で「海洋深層水の開発及び管理に関する法律」が成立し、2008年2月4日に施行されました。これにより韓国で取水された海洋深層水を用いた製品開発が開始されています。アジア以外では、インド洋のモーリシャス共和国でも海洋深層水を活用した産業振興のための調査・研究を進めているそうです。
海洋深層水を使おう!

化粧品、バスグッズ、飲料水、アルコール等々・・・
細菌学的にも化学的にも清浄、ミネラルが豊富な海洋深層水は化粧品、バスグッズ、入浴剤、飲料水、アルコール類、水産加工食品などとして商品化されています。海洋深層水は、人が生きるために不可欠なミネラル分を陸水よりも多種類含むだけでなく、陸水のようにダイオキシン等の有害化学物質に汚染されていないという特性を持っており、その利活用方法は単純に飲料水に留まるものではありません。各取水地では、その特性を活かすべく産学官の連携により様々な研究開発を行っています。その成果を特許として保護し、他の企業や取水地と差別化を図る努力が行われているそうです。特許の都道府県別の出願件数は、東京、高知、富山の順で、他の取水地の企業は先行したこれらの特許に抵触しない製品開発を迫られています。これは韓国でも同様であり、本格取水開始前から特許の取得が競われていて、先行した日本の研究開発や特許出願を参考に短期間で数多くの特許が出願されています。深層水の取水が始まり、商品化が流通し始めたころには、一部業者が、海洋学上の海洋深層水の神秘的イメージや科学的に証明されていない「数千年間かけて熟成された水」等のイメージをPRに利用したり、ほんの僅かの海洋深層水を添加しただけの製品を海洋深層水飲料として販売したり、科学的エビデンスを明らかにすることなく海洋深層水というだけで健康に良くあたかも病気にも効くというような、薬事法に抵触するような販売手法をとっていたようです。このような商品の根絶を図るため、2001年12月には公正取引委員会からガイドラインとして「飲用海洋深層水の表示について」が示されほか、良心的な事業者団体では独自のブランドマークを付与したりして、海洋深層水商品ののイメージ保護に努めています。現在では一時的な深層水ブームにのって生産されていたこのような製品は淘汰されつつあります。
日々進められる海洋深層水の商品開発
消費者に納得して海洋深層水製品を購入してもらうには、科学的裏付けのある商品開発が重要であることから各取水地で様々な研究開発が進められています。飲料関係では、富山県立大学が化学企業と共同で研究し特許を取得した、深層水を電気分解することにより製造したアルカリイオン深層水飲料を製品化しています。また、富山市の製薬企業が、深層水のミネラル分を用いて、水関係では初めてとなる特定保健用食品を2003年に開発、販売したほか、栄養機能食品の飲料を2007年に開発します。アルコール類では、大手ビールメーカーが発泡酒の製造工程に富山湾の深層水を最適な量使用することにより、豊富な無機栄養塩を活かして酵母の発酵を促進させ、製品作りに活用しています。化粧品類では、大手化粧品メーカーから、深層水の保湿性を活かした化粧品が製造、販売されており、化粧品関係の特許も取得しています。また、韓国でもハワイの深層水を輸入してミシャブランド化粧品の一部として販売しており、日本でも販売されています。食品では、富山県射水市の加工食品メーカーが富山県食品研究所と協同研究を行い、食品添加物に代えて、深層水を用い、そのミネラル分を活かして、大豆、サトイモ、ゼンマイ等の食品加工の工程に深層水を用いることで、煮くずれを防止し、うま味成分を保持する技術を開発し特許を出願するなど、科学的効果を検証した、おいしく、見た目もよいとする製品作りを行っています。
医薬分野では、海洋深層水のミネラルバランスが人の体液に近いことを活かして、富山市の企業が地元大学と臓器保存液として利用する研究を行ない、従来の生理食塩水に比べて遙かに保存効果が高いことを明らかにしました。